第2話
「ほーっほっほっ!勝負あったようね!」
うめこぶちゃんの高笑いが裏庭に響き渡った。
そう、お茶漬けちゃんは完膚なきまでに勝手に負けた。
「勝った!ついに勝ったわ!お茶漬けちゃんに。私の・・・願いがかなう!」
うめこぶちゃんは心の中でもうずいぶんと昔の頃の記憶をよみがえらせていた。永遠に会えることの無くなったお母さんの記憶。でも、それも・・・
「どうかしら、小梅ちゃん、あなた達の負けよ!」
しかし、帰ってきた言葉は予想もしない言葉だった。
「甘いです!うめこぶちゃん」
うめこぶちゃんの周囲に何も無かった筈の場所に突然人影が現れる。光学迷彩!?・・いや、物音さえしなかったという事は・・。考えてる間もなく廃校舎の屋上が光を放った。
「小梅バリアー!!」
「!?」
小梅ちゃんの周囲に光の歪みが出来たかと思うと縛っていた縄は弾け飛び、周囲にいた男達を退けた。小梅ちゃんが軽く地を蹴るとまるで無重力かのように体がふわりと宙に浮く。そして小梅ちゃんが体を前に倒すと地面を蹴るように宙を蹴って一瞬のうちに廃校舎の屋上から大地に舞い降りた。
「あなた、一体!?」
「私はっ!未来からうめこぶちゃんを捕まえに来た時空警察第8課特殊班 小梅!」
「じ・・時空警察!?マークされてたの!?」
頭が混乱した。はじめてお茶漬けちゃんからの勝利を勝ち取ったと思ったのに、ただのクラスメートだと思っていた小梅ちゃんが時空警察、しかも超能力の使い手、ずっとマークされていた・・・。一体、これはどういう事だろう。しかし真実を確かめている暇は無い。ただ、今は逃げるしか・・・。うめこぶちゃんは力の限り走って逃げた。
「犯罪者リストIOA2−74352 うめこぶちゃん 特別A級犯罪現行犯で・・・逮捕します。」
特別A級犯罪、時間航行自体も禁じられているけどそれよりは多分、過去への干渉についての違反だろう。時空警察は常に時空の流れの変動を監視していると聞いたことがある。あいつらは時空の原理についてあまりよく分かっていないのだ。ちょっと変動値が変わっただけでも過剰反応する。だとすればさっきの出来事は十分特別A級犯罪に値する。何せ私は・・
うめこぶちゃんは抵抗も虚しく時空警察に手錠を掛けられる。
「おかあさん、やっと会えると思ったのに・・駄目・・みたいだよ。」
手に付けられている手錠はあらゆる物理的な破壊を防ぐ電磁バリアーが付けられていると言う。もちろん、うめこぶちゃんのような中学生の細腕で壊れるような代物ではない。あきらめるしか・・そう、あきらめ・・る・・?おかあさん・・を?もう、2度と・・・?おかあさん・・お・・かあさん・・・。
「おかあさぁーん!」
うめこぶちゃんは声の限り叫んだ。