2004年12月29日(水) 雪 <ラーメン屋と俺>

静岡県F市D町、雪に誘われるようにふと気の向くままに町を歩いていたら小さなラーメン屋にたどり着いた。


K「・・・」


のれんを無言でくぐる。オタクは基本的に一般人には必要最小限の言葉しか使ってはならないのだ。そうして、傘の雪を落とそうとしたときだった。


店員A「いらっしゃいませーー!」
店員全員「いらっしゃいませーー!」


K「!!・・・」


しまった。こんな片田舎で油断していたがこの店はおしゃれ系の店らしい。店員は客が入るたびに機械のように挨拶するように教育されている。少々場違いな雰囲気に浮き足立つ私。何でラーメン食いに来ただけなのにこんなに動揺させられるのだ?

周りを見渡すと券売機があった。注文の時にはこの私的異次元の連中と口を利く必要はないわけだ。


K「・・・・」


やはり無言でチャーシュー麺800円の食券を渡す。すると・・


店員A「麺のお好みはいかがですか?麺は固めでしょうか?太さは・・」


こ・・こいつ、お前んとこのラーメンは面の硬さも決められんのか!?麺なんてどうでもいいんだよ!俺はさっさと食って早く出てきたいんだ!


K「よしなに・・」

店員A「は?」

K「・・・」


ついついめんどくさくなってターンAガンダムで覚えたお姫様系の返事を使用した所、どうやら一般人と言語系が違うかったらしい。「勝手にしやがれにょ」とか「あんたに任せるロボ」とかと同様の扱いだ。(そうか・・「よしなに」は駄目なのか・・)


K「テキトーに作ってください。」

店員A「はい、テキトーおねがいしまーす!」

K「でも魂込め気味!」

店員A「魂込め気味ー!」

K「ぴちぴちっと!」

店員A「ぴちぴちっとー!」


さて、注文もそれなりに周りを見渡してみると仕事を終えたおじさんばかりだ。なんだ。店はおしゃれ系でも客が着いて行ってないじゃん。片田舎でこの店の店員、浮いてるじゃん!!(東京弁。違う?)

少々余裕が出てきたぞ!こんな浮いた店でなら、ガラスの仮面最新刊だって読めそうだ。
なーんてね!そんな事ができないのがオタクってモノさ!

PlayBoyの真ん中らへんのページを開いて一般人を気取ってみる。
ふむふむ。なかなかのカメラマンだ。こう、夕日の取り入れ具合とかが・・


数分後、ラーメンを持った店員がやって来た。大きく広げたPlayBoyに少々動揺の色が見える。


間違った!?


どうやら違うのか?一般人って、女、女、エロ、エロ、乳、乳とか毎日言ってて、街中にナンパに出かけて夜の街にフケ込んでそりゃやりたい放題、獣のような人間達の事では!?

少々肩身が狭いながら、広げたPlayBoyはもう畳めない。


店員A「・・どうぞ」

K「・・恐縮です(PlayBoyが)」


うん、ラーメンの味とか分かんない。PlayBoyはもう二度と買わない。ペンギンクラブにしようと心に誓った。