2004年 アニメ総括

今年はアニメを見ていて2回の喪失感を味わいました。
1つ目、「カレイドスター
2つ目は「ぴちぴちピッチ
両作品ともに、最終回を迎えた時、来週からどうやって生きていけばいいのか分からなくなった作品です。
2004年を締めくくるにあたって、私はこの2つの作品をクローズアップします。


2つの作品は大きくかけ離れた作品です。
カレイドスター」は限りなく完璧な作品になって最終回を迎えたと思います。


 第一期はバラエティーに富んだサーカスや舞台の物語でした。ソラのカレイドステージへの入団から会場の風船配り、配役を与えられての舞台デビュー、カレイドステージ花形のレイラとの共演、他のサーカスへの出演、カレイドステージ解散、「フリーダムライツ」結成と遊園地全体を使ったステージ、レイラとソラの幻の大技・・・。毎回様々な難題にぶち当たるソラが技の特訓をしたり、仲間と話合って技を生み出していきます。そんなソラやその仲間を見てどんな技を見せてくれるのだろうと期待する観客に対して、完成した技を手を抜くことなく美しく描くアニメスタッフは、ソラの出した答えを逃げることなく描いていました。視聴者は舞台を楽しみにする観客になっていました。舞台を楽しみにする観客をバーチャルに体験する事が出来る作品なんて、中々お目にかかれないはずです。


 第二期は最終回の「天使の技」を描くためだけに25話を費やしたかのような話でした。前半はソラの迷いを描いていて第一期のような派手さが無く、世間の評判は大変悪かったです。しかし、「天使の技」の全貌が見えてくる+数々の伏線が解消されていく終盤の物語の盛り上がりは第一期の「幻の大技」の比ではないと思います。最終回一回前でのレイラさんとの「天使の技」対決で盛り上がり、更に最終回では「天使の技」のその物の美しさにプラスした「すごい」演出にもう、最高の喝采を送るしかありませんでした。


 この作品は「とんがり帽子のメルモ 」、「悪魔くん」、「きんぎょ注意報!」、「セーラームーン(無印)」、「魔法使いTai!」、「夢のクレヨン王国」、「おじゃ魔女ドレミ」、「新白雪姫伝説プリーティア」、「プリンセスチュチュ」、「ケロロ軍曹」・・って、よく分からないぐらい作品作っている佐藤順一監督の作品でも最高傑作じゃないかなぁ・・?(見て無い作品もありますが。)





で、それに比べて最低と噂さえある「ぴちぴちピッチ」。

ちとこの作品の話をするには東京ミュウミュウも語らなくてはならないので、総括の次に2004年12月22日に書いたレビューをタイトル付きでもう一度再録します。


ま、何やかんやで「東京ミュウミュウ」からツッコミ系アニメ番組の地位を引き継ぎ、ツッコミ系アニメを究極まで高めたと言っても過言ではない「ぴちぴちピッチ」。でも、この作品はそれだけでは無いのです。「東京ミュウミュウ」には無かったエンターテイメント性を備えるように成長していったという重要な要素があります。


 最初は駄目アニメ業界を震撼させる程のジャイアンリサイタルを実現してしまったぴちぴちピッチも、第一期後半くらいには結構聞けるようになりました。(いくらか順応の力もあるのですが。)そのうち、土曜の朝はぴちぴちライブというのを心より先に体が覚えてしまうという麻薬性を持つようになったような気がするのです。一社会人的に言わしてもらうと、週末の始まりである土曜日朝は「ぴちぴちライブ」で景気良く天使の休息スタート!!すでに週末の休日の一部、生活の一部です。休み(ライブ)無しに仕事なんてやってらんねぇっていうものです。


 話自体もライトで難しく考える必要も無く、気軽に見れるというのもだんだんと愛着が湧いてきます。そのうち心で感じるより前に体がα波辺りを出すようになってるような気がします。やはり麻薬性です。


 で、時々出てくる異種族間のしがらみを描く話が適度に私たちを刺激するのです。例えばPURE第18話「星の迷宮(ラビリンス)」 では、無印で敵同士ながらも恋人になり、しかし最終回で死に別れになってしまった水妖ユーリとヒッポの話が描かれていました。
奇跡の入江で四年に一度願いがかなうという伝説を信じてユーリに会いたいと願うヒッポが奇跡の力で出来た夢の世界でユーリを探すという回です。


 2人は夢が消えてしまう間際に出会いますが、せっかく会えたのに何も伝えられないままに夢が消えそうになります。「お願いです。時間よ、止まって」と、オレンジ真珠のマーメイド星羅が歌って時を止めている間にユーリとヒッポが思いのたけを伝えると言うシーンがあるのですが、このシーン、やばいぐらいユーリがいい表情出してるのです。声は消していて、星羅の歌と2人の絵だけのシーンなのですが、表情だけで2人の喜びと切なさを両方視聴者に伝えていました。そして、星羅の歌がその感情を更に引き出す・・。作画と歌の融合による感動でした。まさか、ピッチに歌で泣かされるとは思いませんでした。


 他、どんどん中の人の演技が巧くなって本当に切なさとかを表現できるようになっていったのも、この作品の見所。ぴちぴちピッチPure辺りでは主人公るちあの切ない話が山盛りにあります。何かそんじょそこらの声優より余程切なさを感じるのは下手巧の部類なのかもなぁ〜とか考えた事もあります。あのボケた声が嘘を言ってるように聞こえない・・と言うか、作品の雰囲気も嘘を言うような雰囲気では無いと言うか・・・。本当にキャラの感情をPureに観客に伝える作品になっていたんじゃないかと。元々中の人に興味がない私ですけど、この作品は中の人の成長が明らかに分かったので中の人を応援する気持ちってのが初めて分かりましたね。


で、最後に、「希望の鐘音」正直、この歌は他の歌と別格にしたいんだけど唯一の古代人としての孤独を背負ったミケルとみかるを救う歌詞(「強い者だけの世界じゃないからListen To My Heart」とか)と、優しいメロディーがすげえいい!!最終回一回前の劇中にミケルとみかるの心を救う為に歌うMP7とアクアレジーナ様の大合唱はなんかすげえ心に来たね。8人の声が合わさる感じがそりゃ救われちゃうよみたいなね。心に届いちゃうよみたいなね。


 ぴちぴちピッチは話によって出来に大きな較差があった。決して完璧な話なんて言えない。けどいい時はすげえ心に響いた。他のアニメとはそこが全然違うかったな。毎回いい感じに作るアニメはあったけど、出来のいい回のピッチのインパクトには敵わないという感じですね。






 完璧な「カレイド」と一般に出来の悪い「ぴっち」。いい作品ってのは何なのだろうとかちょっと考えさせられました。とりあえず、一年に2作品もいい作品に出会えて良かった!


PS.佐藤監督の事も書いたので、「ぴちぴちピッチ」のふじもと よしたか監督についてもちょっと触れます。この監督について私は「万能文化猫娘」→「アキハバラ電脳組」と作品を見てきたのですが、「万能文化猫娘」では駆け出しアイドルが脇役で、「アキハバラ電脳組」ではスーパーアイドルの鳩子が敵役として登場していて、執拗にプチ歌アニメをやっていたのですが、ついには歌アニメ「ぴちぴちピッチ」でマーメイドのお姫様として主役が歌い出すという、その進化の道のりが大変面白いのですが、まぁどうでもいい事ですね。「ぴちぴちピッチ」もふじもと よしたかさんの最高傑作だと思います。